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[1931年11月― ]
カナダ・モントリオール生まれ。1952年にマギル大学を卒業し渡英、55年にオックスフォード大学を卒業した。イギリス滞在中には、新左翼運動に加わり、雑誌『Universities and Left Review(大学および左翼評論)』(60年に『New Left Review』と改題)の創刊に関わる。61年にオックスフォード大学で哲学の博士号を取得後、マギル大学政治学部助教授に着任。同年に結成されたカナダの新民主党(NDP)で政治家としても活動し、一時期副党首を務めた。62〜71年モントリオール大学哲学部助教授を兼任した後、72年にマギル大学教授。76年からオックスフォード大学チチェリ社会政治理論教授も務めた。98年からマギル大学名誉教授。2002〜07年ノースウェスタン大学教授。
「全体論的個人主義」の立場に立った「共同体主義(コミュニタリアニズム)」や「多文化主義(マルチカルチュラリズム)」の唱道者として知られ、20世紀後半以降で最も影響力をもつ哲学者の一人に数えられる。「相互承認」の概念をもとに、異なる歴史・伝統・文化をもつ人間同士が、その価値観を認め合いながら幸福に共存できる社会哲学を構築。その背景にある「哲学的人間学」において、人間は価値と目的とをもって行動する「自己解釈する動物」であると定義し、共同体の中で他者との会話を通じてアイデンティティを確立し、善なること、価値あること、為すべきこと、賛同・反対することを自己決定するための枠組みを獲得していく存在であると説いている。「深い多様性」を生きる人間の尊厳を重視する立場から、近年ではタイの民主化支援やケベック州の文化的少数民族社会の現状についての政府調査などにもたずさわり、人権擁護や宗教対立、ケベック独立問題など政治・社会問題に関して積極的に発言を続けている。
これらの実績が評価され、レオン=ジェラン賞(1992年)、テンプルトン賞(2007年)を受賞し、カナダ勲章(1995年)、ケベック国家勲章(2000年)を受章している。08年には稲盛財団から京都賞(思想・芸術部門)を授与された。ブリティッシュ・アカデミー、カナダ王立協会、アメリカ芸術科学アカデミーの会員も務める。
関連サイト:
[森田悦子]
[学術・論壇]
[2008年8月21日配信]
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